小山:そうですね。その方が素晴らしい方で、それがきっかけで特許の仕事ってすごく楽しそうだなと思うようになり、企業の知財部を目指すことにしました。そして、日立の知財部に入ることになったんです。入社してまず弁理士資格を取りました。

白坂:当時は合格者の1割ぐらいが日立の社員という時代でしたよね。僕もちょうど同じ時期に勉強していたので覚えてます。

小山:まず2年半ぐらいかけて弁理士資格をとりました。そのあと付記弁理士をとって、そのあとに慶應の法学部の通信で法学士を取ろうと思って。当時からゆくゆくはアメリカ関係の仕事をもっとやりたいなと思っていて、そのためには日本の法学部を出て、アメリカのロースクールや資格を取れるようにしておいた方がいいんじゃないかと思いました。

白坂:ちょうど日本のロースクール制度ができたてのときに、日本のロースクールじゃなく、向こうの方がいいかなみたいなことを考えていらっしゃったんですね。

小山:そうですね。もともと帰国子女だったので、英語と理系の知識と、法律はそこから勉強して、それらを組み合わせた仕事をやっていきたいと思いながらやっていましたね。

白坂:素晴らしい。

小山:アメリカに行くには法学部を出ておいた方が良さそうだぞということでやり始めて、4年半。本当は2年半くらいで出られるところだったんですけど、やっぱり仕事もやりながらで大変だったのでちょっと延長したりして卒業できました。

白坂:長期履修ですね。

小山:そうですね。秋のシーズンとか夏休み期間中に、通信でありながらも物理的に日吉や三田に通って授業を受けたりテストを受けたりしないといけないので大変でした。その後、私が慶應の法学部を卒業するタイミングで、シカゴ大学のロースクール留学させて頂けることになりました。

白坂:すごい。シカゴいいですよね。ブルースで有名な。

小山:はい。シカゴ大に行ったのが2012年から2013年の1年間なんですけど、そのときにニューヨーク州の司法試験に通って、帰ってきて5年半くらい丸の内に戻って働いて、今に至ります。その後、メイヤー・ブラウンにお世話になることになりました。

白坂:日立の頃はいろんな事務所と付き合っていると思うんですけど、メイヤー・ブラウンがいいなと思った魅力というか。そこはどんな決め手があったんですか?

小山:仕事内容はもちろんですが、やはり人が素晴らしいと思います。今一緒に働いているワシントンDCの知財チームをはじめ、皆さま素晴らしいです。

白坂:僕もDCでご飯食べさせてもらったんですけど。他の弁護士の先生って、僕らが2人で行ったらだいたい2人くらいでいらっしゃるんですけど、そのとき10人くらいでいらっしゃって。家族感がすごいなと思って。

小山:そうそうそう。その感じがとてもいいなと思いました。

:慶應の卒業証書が5枚もあるなんてすごいでござるね!アメリカでお仕事をするために計画的にキャリアを積んでこられた点も素晴らしいでござるが、素敵な人たちと出会えたのが何よりの収穫でござるね。後半戦は、日米における知財の違いやコロナ禍におけるAI活用の可能性について斬り込んでいくでござる!

日米の違いとAI Samuraiに期待すること

白坂:なるほど。日本の弁理士でもあり、夜とか夏休みに勉強して、最後シカゴ大でロイヤーにもなった小山先生でいらっしゃいますが、日本の弁理士とアメリカの弁理士の法制度的な違いで、求められてるものが違うな、とか感じることはありますか?

小山:やはり日本法とアメリカ法で法律がそもそも違い、アメリカ法では判例の蓄積があり、それに則して主張や証明もしていかなければなりません。もちろん明文の法律もありますけど、色々な裁判例が蓄積されていくので、同じ論点でも塗り替えられればそれに基づいて新しいロジックを構築していかなければならないところが大きいと思います。日本でも同じ論点で裁判例が変わることはもちろんありますけれど。

白坂:判例をしっかり把握しておくとか、上手く使いこなすといった要素がより強いんですね。

小山:そうですね。なのでそういう判例検索のシステムがアメリカだと色々とあります。

白坂:WESTLAW(ウエストロー)とかですよね。そういう意味ではAIなんかも、判例とかでももっと活躍する場があるってことですね。

小山:あると思います。

白坂:普段の業務で、「AIでもうちょっとこんなことができたらいいな」とかいうことはありますか?

小山:紛争系ですと、審査経過、IPR、あとは裁判手続き内での無効主張などでどのような公知例やそれに対する反論をしているかを確認する必要があります。そのため、どの構成要件についてどのような主張がなされたのか、関連する情報を一覧的に把握できるものがあれば便利だと思いますが、例えばそういうところがAIで代替されたらいいですよね。

白坂:たしかに。その辺りをAIでハイライトしたり変遷をまとめたりして。

小山:そうですね。その辺りの大きな枠組みが簡単に見られるようになると、けっこう自分たちの検討を促進する材料になったりしていいかなと思ったことはありますね。

白坂:なるほど。出願時・公開時・登録時のフェーズでどうで、無効でどう、とか。引例がどう争われたかとか、それがパッとまとめて見れて、一個フォーカスされていると。

小山:そうですね。

白坂:小山先生のアイディアを半年後くらいに導入するためにちょっと聞いていきたいですね。

小山:わりとアメリカが進んでいていいのが、色んな資料がけっこうネットで取りやすいんですよね。

白坂:そうなんですよね。

小山:だからそうした情報を収集してきてAIの検索対象にしたら、何かできるんじゃないかなあと思ったりもします。

1 2 3 4