白坂:そういった学生たちが巣立っていくわけですが、将来どういう技術者になってほしいと思っておられますか?

岡村:先程、メイドインチャイナ、メイドインジャパンといった話に触れましたが、どこの国で製造されようと、日本の企業・日本の製品として生み出すものに対して、技術者に「日本製品」、「ジャパンプロダクツ」という自負と誇りを持って送り出してほしいと。そういう風に思います。

白坂:例えば、そういった学生たちの子に、アメリカとか中国とかでも活躍してほしいなという思いもありますか?

岡村:活躍の地はどこでもいいと思うのです。全員が全員、日本の企業に入りなさいということではないのですけれども、いわゆる日本の企業に入社して、その製品を世に送り出すのであれば、「自分たちが作るものは日本製品だ」という誇りを持ってほしいと。自負心ですね。

:岡村先生のような先生のもとで勉強できる学生さんは幸せでござるね。自信をもってまっすぐ育ってほしいでござる!話は国が設ける特許に関する無料相談窓口の話題に。実務にあたる先生だからこそ見えてくる視点とは?

弁理士の価値について

弁理士自らが弁理士の価値を高めていけるように

岡村:現在、国が主導で無料の専門家派遣制度を実施しているのはご存知ですか?

白坂:はい。スタートアップとかも支援をうけているところありますよね、最近。

岡村:我々もその相談員、支援員に認定されて、無料相談をお受けしています。一例ではありますが、そうしたところに来られる方々の中には、企業を定年退職して、全くビジネス展開する予定もなく、老後の趣味として「こんなアイディア考えたんだけど」というご相談者も含まれています。相談内容にかかわらず我々にはもちろん対価としての報酬が支払われる仕組みです。あくまでも一部とはいえ、例えば趣味で発明をしている方の相談を受けて、税金を投入して弁理士にお金を払うというのは産業振興にはつながりません。

白坂:それであれば、子ども達の発明に使った方がいいんじゃないでしょうか。あるいはAI Samuraiを国で買った方がいいんじゃないかと思います(笑)。

岡村:そうですね。そうした国の知財政策については、想定されていない例が生じていることを知ってい頂くことも重要であると思います。

白坂:そういう指摘って誰かが言っていかないと変わらないですからね。否定するわけじゃないけど、地方ではそういうのが多いよと。年配の方でも発明を考える可能性は十分ありますからね。

岡村:国が推進している支援の中にはそういう事例も少なからずあって、より一層、産業振興に寄与するような予算の使い方を考えて頂きたいと思います。 同時に危惧するのは、相談自体が無料であることです。つまり、弁理士は無料で相談するものだという意識が浸透すればするほど、結局日頃我々が有償で相談をお受けすることが難しくなってきます。今まで、我々が真剣になってご相談に乗らせて頂いて、有料で提供させて頂いていたお仕事が、無料の相談窓口を積極的に推進されることによって、弁理士というのは無料で相談するものだという認識を広めることになる。それを我々自身が協力して実施しているわけですから、弁理士の価値を弁理士自らが下げているのではないかと感じてしまうことも事実です。

白坂:確かにそうですね。あまり良くないですね。第二回でご協力いただいたみなとみらい特許事務所の辻田先生が商標についての価格設定のお話をされていましたが、もともと無料相談なども国が先行でやっているんですね。最後に岡村先生のご意見をお伺いできて大変参考になりました。ありがとうございました。

:「弁理士のあり方」に対する岡村先生の視点はごもっともでござるね。穏やかな口調から繰り出される鋭い意見がとっても刺激的だったでござる!「同じ業界に身をおく人間が、自らの価値を落とすような行為をしていないか」という視点はどんな業界にも通じるものがあるでござるね。岡村先生、どうもありがとうでござる!

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